国産稲わら確保の
先進的取り組み事例について
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●名称/白河有機農業研究会 ●所在地/白河市 ●収集形態/営農集団
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地域の概要 |
白河市は、福島県中通り南端の西白河地方の中心に位置し、南は栃木県那須町に接している。市内には、那須連峰を水源とする阿武隈川をはじめ、谷津田川、高橋川、社川、泉川、黒川などが流れ、これらの河川に沿って市街地と水田が広がっている。大部分の農地は、標高300〜380mに分布している。年平均気温は約12℃、降水量は1,300mmであり、夏季平均気温は20〜24℃と準高冷地の気候を示す。耕地面積は2,520haであり、うち水田が1,970ha(約78%)を占める。舟田地区の面積は134.4ha、うち農用地は129.7haである。水稲を主体とし、果樹や野菜を組み合わせた複合経営がほとんどである。平成6年度から担い手型ほ場整備事業が始まり、平成11年度に118haの工事が完了している。大区画ほ場整備実施により、大型機械利用の稲わら収集に適した地区となっている。
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収集に至った経緯 |
組織結成以前より、隣接する大沼地区を中心として稲わら収集が行われていたが、当地区では実施されていなかった。稲わら供給先である畜産経営者から、稲わら収集に好条件な舟田地区において、国産粗飼料増産緊急対策事業の活用について提案があった。これを機会に、既存の稲わら収集メンバー内で検討し、さらに、当地区内の他の基盤整備受益者を誘導し、有志により稲わら収集組織を結成した。結成当初は、耕種経営者11名により組織され、平成12年度より5ヵ年計画で事業を実施し、2名の畜産経営者へ稲わらの収集・供給を行っている。
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経営又は活動の概要 |
平成13年度には8名が新規加入し合計19名で構成されている。組合員のほとんどが水稲主体とした、果樹や野菜の複合経営であり、水稲受託作業を行っている経営も多い。収集面積は約50haで250tの収集を行っており、収集した稲わらのうち50tは県内石川郡浅川町の畜産経営者1名へ、残り200tは白河市内の畜産経営者1名へそれぞれ供給している。稲わらの収集は、稲刈り後コンバインにより30cm前後に切断された稲わらをほ場にて乾燥させ、ロールべーラーで収集する。刈り取り・収集・梱包の作業までを、白河有機農業研究会が行っており、常時5名程度のオペレーターが作業にあたっている。収集された稲わらは、生産ほ場水田にて、ロールの形態で畜産経営へ引き渡される。稲わらは全量、畜産経営で生産される堆肥と交換しており、販売は行っていない。稲わら収集全面積50haに対し、800kg/10aの堆肥を投入する契約となっている。
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収集供給体系 |
(1)収集供給体系
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(2)収集・供給作業の流れ
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取組みによる効果 |
○今まで労力不足のため稲わらを焼却処分せざるをえなかった組合員も、オペレーターによる
機械作業で稲わらを収集し、堆肥をほ場に散布することができるようになった。
○稲わらと堆肥の交換により、有機資源循環型農業を実践している。また、堆肥の投入は、
基盤整備後の地力維持にも効果的であると組合員に好評である。
○供給先の畜産経営では、供給される稲わらの他に、牧草を作付けしており、粗飼料は100%
自給している。
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価格体系及びコスト |
■価格体系
収集稲わらは、全量堆肥と交換されている。
交換量:堆肥800kg/10a (稲わら単位収量500kg/10a)
■オペレーター料金 (機械利用料及び人件費含む)
稲わら収集・梱包作業:約4,000円/10a
堆 肥 散 布 作 業:約1,000円/10a
■製品形態
梱包形態:ロールベーラ (310kg/1梱包)
品 質:乾燥稲わら
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利用者の声 |
○たい肥を投入したほ場で生産された稲わらは、茎が太く品質がいい。
○事業終了後も継続して稲わらの収集・供給を行ってほしい。
○たい肥の投入で水稲の収量も上がり、お互いにメリットがある。
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今後の展開方向 |
○事業を活用し、マニュアスプレッダ、ホイルローダ、ロールベーラの整備により、さらに有機
資源の循環を円滑に実施したいと考えている。
○堆肥舎を整備し、より水稲生産に適した堆肥づくりに取り組む。
○組織への加入希望者が増えているが、現在の取り組み状況を維持するために、組合員数は
現状を保つ。組合員の中で、まだ稲わら交換していないほ場(20ha)についても稲わら収集を
行う。
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その他 |
○所在地 県南地域管内図はこちらから
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■収集作業風景 |
稲わら収集前 |

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稲わら収集作業 |

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ロールベーラによる梱包作業 |

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トラックへ搬出・運搬 |

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