調査結果(耕種部)
調査者 西牧 政巳
1.県全体のライスセンター、カントリーエレベーターの設置状況
平成11年度までの設置数は、下記のとおりである。(県の稲作生産計画より)
施設名 |
設置数 |
処理面積 |
処理数量 |
ライスセンター |
282 |
8,702 |
40,329 |
カントリーエレベーター |
30 (ドライストア14ケ所含む) |
4,397 |
21,961 |
計 |
312 |
13,099 |
62,290 |
2.平成11年度のモミ殻製造業者の調査
(1)本年度は、県北地方3ヶ所、県中県南地方7ヶ所、浜通り(相双)地方3ヶ所、合計13ヶ所調査を実施したが、家畜舎の敷料としての活用は、以外と低い状況であった。畜産事業も輸入自由化以降、年々厳しさを増し畜産農家も減少傾向にあるが、さらに畜産公害等、環境悪化を招いている要因も考えられる。 今後、畜産経営を継続するためには、耕種農家と畜産農家とのより一層の有機的結合が大切であり、これに向けた強力な指導も推進する必要がある。
(2)このような現況の中で、県では地球にやさしい農業を掲げ、施策として「環境保全型農業」「土づくり」を重要課題として位置付けるとともに、県下各地方の農業振興計画も広域的な堆肥供給施設の設置が計画化又は早期樹立が望まれている。
3.県内有機物(堆肥)供給施設の調査結果
(郡山地方堆肥製造施設整備推進委員会幹事会まとめ)
農家に有機物(堆肥)の供給を実施している施設の状況を把握するため、県内44ヶ所の施設について、施設の規模、原料調達、運営状況等について調査した。
(1)特にモミガラに関係する事項のみ
ア.事業主体 | @44ヶ所の内15ヶ所がJA、その他は生産者の任意組織 | |
イ.処理施設 | @ 各施設ともに補助事業で設置 A 大半の施設が、畜産の糞尿処理が目的でその他はライスセンター等のモミガラやバークの処理のため設置されている。 B 施設の規模は、比較的小規模のものが多く、1,000?以上の施設は8ヶ所となっている。 |
|
ウ.生産力 | @1,000t以下が多く、1,000t以上は11ヶ所 | |
エ.堆肥化の方法 | @ 堆肥舎(盤)など比較的簡易なものが多い。 |
(2)原料関係について
ア.主原料について | @ 家畜糞尿を中心に、稲ワラやライスセンター等のモミガラを使用しているところが多い。 A 規模の大きいところは、産業廃棄物も使用している。 |
イ.原料調達方法 | @ 大半は、農家より原料を調達しているが、大きい施設は管外の農家や企業、団体等からも原料を調達している。 |
ウ.醗酵期間 | @ 1月から12月とまちまちだが、6〜7月が多い。 |
(3)運営状況について
ア.生産費 | t当たり850〜17,000円とまちまち |
イ.販売価格 | t当たり850〜20,000円とまちまち ※ 一部の施設では、無償で供給している。 |
ウ.収支について | 44施設中、黒字なのは4施設 |
エ.需給関係 | 需 要が多い 〜7 施設 〃 が少ない〜15 〃 バランスがとれている〜14 〃 不 明〜8 〃 |
(4)問題と課題
@ | 採算がとれない |
A | 悪臭問題 |
B | 需要が一時期に集中 |
C | 原料入手困難 |
D | 農家需要が年々減少 |
E | 品質が不安定 |
(5)※ 以上が、県内施設の実態、これらの施設の問題等を分析検討し、改善することは下記の事項等から急務である。
ア、(4)の@〜Eの問題と課題が中心となるが、
4.その他(特に稲ワラ、モミガラ活用で)
(1)今後、酪農家継続して、事業を進めるためにも糞尿処理は、さけて通れない状況にある。
(2)地域の環境を守り、周辺住民から嫌われない酪農にしたい。
(3)特に、大型農家は、これらに関心が高く、一部農家では施設の整備に努め、堆肥つくりに取り組んでいる農家もある。
(4)しかし、コストがかかるため、農家の力では限界があり、耕種農家との連携で解決し、地力アップの面等で地域に貢献できる方法を模索する必要が大切
(5)そのためにも酪農家と耕種農家とのネットワークを確立する必要がある。
例.
・RC、CR(粉砕モミガラ)→酪農家で一次処理(水分調整、切り返し)→堆肥原料
※ 特に、粉砕モミガラの安定供給について、検討の要請が強い。
〔参 考〕
(1)県下の農作物残渣では、モミガラが約12万tであり、うちライスセンター等の方は17,000tである。