調査結果(森林、林業部)

                                     調査者 我妻 實


1.県北方部
 製造工場は、80工場が存在し、平成10年度の一工場当たりの原木消費量は約800m3と零細規模である。 原木消費量の推移をみると8年対比で10年度には20%減となっており、これに伴ってオガ粉も減産傾向で推移している。
 今後の見通しも、住宅着工率の増加は期待薄であり、製材量の増加も見込めず、オガ粉も生産は厳しいものと思われる。なお、製材品の大部分は地場消費である。

2.県中方部
 この地域は、区域が広いこともあり、製材工場は最も多く108工場があるが、一工場当たりの年間原木消費量は、1,300m3とそれ程多くなく小規模工場が多い。 製材品は、県北地方と同じく地場消費が多く、住宅着工数の動向から製材品の増加は期待薄である。
 従って、製材品の減少にともなって当然オガ粉の排出量も減少し、今後の増産は厳しい情勢にある。

3.県南方部
 製材工場数は、56工場で県内では2番目に少ない地域であるが、一工場当たりの年間平均原木消費量は3,300m3となっている。これは、一工場の規模が大きく、地域全体の原木消費量の20%を占める工場が存在するためで、他の工場の平均原木消費量は2,000〜2,500m3規模である。
 この地域の原木消費量も減少傾向で推移しておりオガ粉、バークも減少傾向で推移しており、今後の増産はあまり期待できない情勢にある。

4.会津方部
 87工場が稼動している。一工場当たりの原木消費量は、700m3と零細規模で地元消費である。この地域も他地域と同様に木材需要量は年々減少し、 オガ粉の排出量も減っている。
 今後の見通しは、住宅着工数の減少が予測されており製材品の増産は期待薄で、従ってオガ粉も増産は見込めない情勢にある。

5.南会津方部
 県内では、工場数が最も少ない地域で、年間一工場当たりの原木消費量は1,100m3と会津地域よりはやや多いが零細規模である。 製材品は地場売りが大部分で、県内の趨勢と変わりなく年々減少傾向で推移している。このためオガ粉の排出量も減少している。
 なお、この地域は広葉樹を取扱う製材工場が多いため、きのこ栽培用オガ粉として供給している量が多い。 しかし、原木消費量全体が減少しているのでオガ粉も減少傾向で推移するものと思われる。

6.相双方部
 この地域は、67工場が稼動しているが、一工場当たり年間原木消費量は1,350m3で県平均消費量よりやや少ない状況にある。
 この地域も地場売りが主力である。一部の工場では、今後の木材需要に対応するため集成材の生産が試られているが、製材品増産の引金となることは困難と思われ、この地域も県内の趨勢と同様に製材品の減産・オガ粉排出量の減少傾向で推移するものと思われる。

7.いわき方部
 工場数は、県内で2番目に多いが、一工場当たりの年間原木消費量は10,000m3と工場の規模が大きい。販売は県外出荷が多い。消費原木の産地別では、外国産材が80%を占め国産材は僅かに20%である。この地域も消費の落ち込みにより、製材量が減少し併せて外材も半製品から製品輸入が増加し、製材は小割加工程度となり、製材品生産量に比し、オガ粉の生産量は少なく、製材品減少率よりオガ粉減少率が大きい地域である。
 今後もこの傾向がますます大きくなるものと推測され、オガ粉の増産よりも現状維持も困難な情勢にある。