畜産環境整備調査の概要

調査者　德永　真平

１県内の概要
（１）乳牛飼養戸数及び頭数　

県内の酪農戸数は、970戸、乳牛飼養頭数（成牛）20,400頭となっており年々戸数、頭数とも減少してる。

（２）肉用牛飼養戸数及び頭数

　肉用牛は、飼養戸数7,900戸、飼養頭数は繁殖牛（和牛めす）25,000頭である。
　肉専用種（和牛）の肥育頭数44,000頭、乳用種その他29,200頭であるが、年々減少の傾向をたどっている。

　　今後も減少減少の傾向にありその原因として

① 住宅の進出により、既存の酪農家、畜産農家が環境問題や農地の減少により他産業に流出
② 後継者の他産業に従事し、経営者の高齢化
③ 畜産物輸入量の増加等から畜産物価格の低迷などがある。

現在50才以上の畜産農家で規模の縮小、また自分の代でやめる意向のものが数件きいている。

（３）敷料の利用状況
ア、乳牛

搾乳牛については、スタンチョオンストール等で、じん埃の飛散等、生乳の衛生面から牛床マットを利用している。
　育成牛については、オガ粉、モミガラ等を利用している。

イ、肉用牛

繁殖牛、肥育牛ともにオガ粉、モミガラを利用している。また、飼料として給与したイナワラの食い残したものも敷料となっている。
　堆肥のリサイクルも一部みられる。

（４）敷料の調達
ア、稲わら

　敷料として利用するより、粗飼料として利用している。
① 自家の水田からのもの（自給）
② 堆厩肥との交かん
10ａ分の稲わら（約700㎏）と堆肥２t車１台など畜産農家が運搬することが多い。なかには、マニアスプレッタで運搬、散布してやっている畜産農家もいる。
③ 購入
10a分の稲わら8,000～10,000円で購入

イ、モミガラ

① ＪＡのカントリーエレベーター
モミガラを処分してやるということで無償
② 生産組織のライスセンター
無償、堆肥と交かんのものあり

（５）堆肥の需要期

耕種農家の堆肥需要時期は、
　　3月～5月　　　春まきヤサイの作付のとき、
　　8月～9月　　　夏・秋まきヤサイの作付のとき
　　11月　　　　　水田施用のとき
この季節以外は需要が少なくなる。

２方部別飼養戸数及び頭数
（１）県北

酪農は、阿武隈山系、吾妻・安達太良の両山麓を中心に戸数210戸、乳牛飼養頭数（成牛）5,080頭で、１戸当り24頭、50頭以上の規模の酪農家もある。
肉用牛は、二本松市、安達郡を中心に1,080戸、頭数は、肉専用種（和牛）の繁殖牛が3,380頭、肥育は、和牛が5,000頭、乳用種3,850頭で、繁殖牛は１戸当２～３頭で、５～６頭の規模が多い。肥育は１戸当20頭程度であるが50頭以上の規模もある。

（２）県中

酪農は、田村郡・石川郡・郡山市の阿武隈山系、奥羽山系、石筵地区、鏡石町等で390戸、乳牛飼養頭数（成牛）6,300頭で20頭以上が70頭を占めている。
肉用牛は、郡山市、須賀川、田村郡、石川郡の阿武隈山系を中心に飼養されている。
戸数は3,780戸、頭数は、和牛繁殖11,500頭、５～６頭規模のものが多いが、20頭以上のものもある。
肥育は、和牛肥育17,500頭、乳牛等の肥育12,400頭で30～50頭の規模が多く、繁殖・肥育、乳・肉一貫経営もある。

（３）県南

酪農は、那須山麓の西郷村で、他の市町村は少ない。戸数100戸、乳牛（成牛）3,370頭が飼養され、30～40頭の規模のものが多い
肉用牛は、830戸、和牛の繁殖2,850頭飼養され、阿武隈山系の塙町、鮫川村に多い。
肥育は、和牛の肥育6,400頭、乳牛等の肥育3,600頭で、矢吹町、西郷村等、西白河郡に多い。

（４）会津（2市５郡）

会津牛の飼養は少なく、飼養されていない町村もある。
酪農は、喜多方市、猪苗代、塩川町を中心に50戸数戸の町村もある。頭数は1,000頭である。
肉用牛は、340戸、和牛繁殖は990頭、和牛肥育5,000頭、乳牛等1,100頭で、猪苗代町、会津平坦部で飼養されている。

（５）いわき

酪農は、50戸、乳牛（成牛）900頭が飼養されている。
肉用牛は、430戸、和牛繁殖1,150頭飼養されている。
肥育は、和牛肥育1,600頭、乳牛等肥育2,000頭が飼養されている。

（６）相双

酪農は、原町、相馬、浪江、飯舘を中心に180戸、3,160頭が飼養されている。
肉用牛は、1,330戸、繁殖和牛5,200頭、和牛肥育7,900頭、乳牛等肥育6,000頭が飼養されており、飯舘、葛尾、浪江、楢葉の阿武隈山系、大熊、富岡､　小高の平坦部にも飼養されている。