法律制定の背景


@畜産経営による苦情の発生

 畜産経営に起因する苦情発生率は、家畜飼養規模の拡大や混住化の進展等にともない増加しています。
 苦情発生件数の畜種別の割合は、乳用牛が34%で最も多く、ついで豚が32%、鶏が20%、肉用牛が12%の順となっています。また、苦情の内容についてみると、悪臭関連、水質汚濁が多くなっています。

A家畜排せつ物処理施設の整備の必要性

家畜排せつ物の野積み・素掘りといった不適切な管理が存在します。
こうした野積み、素掘りは、家畜排せつ物の河川や地下水等への流失や浸透等により、クリプトスポリジウム(原虫)や硝酸製窒素による水質汚染を招く恐れがあるため、早急にその改善を図る必要があります。

Bたい肥利用状況

たい肥は、土づくりに重要なものですが、耕種農家においては、近年、労働力の不足などから、その利用が減少しています。
土づくり推進には、畜産と耕種の連携強化によるたい肥の流通利用を促進することが重要です。

基本的な考え方

  1. 家畜排せつ物は、これまで、畜産業における資源として、農産物や飼料作物の生産に有効に利用されてきました。
  2. しかしながら、近年、畜産経営の急激な大規模化の進行、高齢化に伴う農業者の省力等を背景として、家畜排せつ物の資源としての利用が困難になりつつある一方、地域の生活環境に問題も生じます。
  3. 他方、我が国全体において資源循環型社会への移行が求められるとともに国民の環境意識が高まる中で、家畜排せつ物について、その適正な管理を確保し、たい肥として農業の持続的な発展に資する土づくりに積極的に活用するなどその資源としての有効利用を一層促進する必要があります。
  4. このため、畜産業における家畜排せつ物の管理の適性化を図るための措置及び利用を促進するめの支援措置を講ずることにより、我が国畜産の健全な発展を図るものとします。

法律の概要


家畜排せつ物法の解説(一問一答)


家畜排せつ物処理施設の整備に活用できる事業